卒業生の手紙


  九州工業大学機械知能工学科弾性力学研究室野田尚昭先生
川原様
研究室の皆様

野田先生、大変ご無沙汰しております。

92 年卒業、当時の材料力学研究室で大変お世話になりました、朝本です。

川原様、今回のご案内、本当にありがとうございました。
封書は現在の職場(英国)まで転送され、先ほど非常に懐かしい思いで拝見させて頂き、当時野田先生に厳しくも心温かくご指導頂いていたことを昨日のように思い出していたところです。
残念ながら、遠方につき、参加はできませんが、会の盛況を心よりお祈りいたします。
私事で恐縮ですが、以下近況を報告させて頂きます。
現在小生は英国のサウスヨークシャー州・バーンズレィ市にある軸受の生産現法で 2 度目の駐在をしています。 社員は約 350 人、駐在している日本人は小生含めて 4 人の会社で、1 度目の駐在(2002 年~2006 年)では品質担当でしたが、昨年 6 月より首席(社長)として 2 度目の駐在を命じられ、半年以上が経過しました。
不思議なことに 4 人の駐在員の中に、もう一人九工大出身(トライボロジ研・04 年卒)のエンジニアが居ます。それも年代は違いますが小生と同じく明専寮(旧寮)の南 3F で寮長経験者です。
よく彼とは茶飲み話で、寮の事や、学校の近くの飲み屋さんの話題で盛り上がっております。

Barnsley 市庁舎
当 社 エントラス
笑顔の絶えない?オフィスの様子

当社は、90 年設立、91 年から操業、主な製品は自動車用トランスミッションやデフェレンシャルギアに使用するテーパローラーベアリング、クーラントの循環ポンプに使用するウォーターポンプベアリング、車軸をサポートするHUB やDAC ベアリング等をKoyo ブランドで生産しており、主な宠先は BMW やVW、ToyotaUK、Fiat 等の欧州カーメーカーです。
これまでは為替要因や原価低減を進めにくい環境、その他諸問題あり、日本に务らず品質の良いものは出来るのですが、なかなか安定した収益体制を築けず、恥ずかしながら赤字経営が続いております。
小生の仕事は、「まずはリバイバルプランを策定して、設備投資を圧縮しつつもラインの生産性を向上させ続け、並行して人員の合理化やその他製造経費の大幅なコストカット等を行い、できるだけ短期に黒字化させること!」と教科書的にはそうなりますが、実際は非常に泥臭く、厳しい情勢下でローカルの士気を鼓舞し続けるのに、日々のエネルギーを使い果たしております。 しかしながら自分自身もこれが成長の良い機会と捉え、大学時代に培った、メンタリティ(=気合と根性?)で何とか乗り切っていきたいと考えております。

TRB 生産ライン(研磨・組立)の様子
品質検査室(焼き入れ硬度と組織検査中)

九州工業大学も、1996 年に精密学会で中島先生にお会いしたのと、数年前に私用でお伺いした際、橋本先生、野田先生にお目にかかった切りで、その後ご無沙汰しておりますが、そろそろ卒研の提出、春の学会等でフル回転されているところでしょうか。
小生も50 歳に手が届きそうな年代になってきましたが、何故かこの時期になると、単位が足りないであるとか、卒業研究がまったく進まず、卒業できない夢を未だによく見ます。(笑)
さすがに九州にはとても及びませんが、イギリスには人情もあり、環境的にも本当にいいところです。よく食べ物が不味いといわれますが、ここでしか味わえない美味しいものも沢山ありますし、いも焼酎や本場の豚骨ラーメンを世界に知らしめた九州人ならば、なんら恐れるものはありません。(ちなみに小生は和歌山県出身ですが・・・)
学会や旅行などで欧州や英国に来られる場合は、何かお手伝いできる事があるかもしれませんので、ご遠慮なく、是非小生までご一報・お申し付けください。
毎日、本当にお忙しいと存じますが、OB の端くれとして九工大出身であることを今も誇りに思い、いつ何時も忚援しておりますので、皆さん健康第一で頑張ってください。九工大発の明るく元気なニュースをお待ちしております。
最後に、つい懐かしさのあまり小生の近況報告が大部分となり、非常に恐縮ですが、野田先生はじめ皆様方のご健勝と、益々のご発展を心からお祈りいたします。

2014 年 1 月 21 日Koyo Bearings Europe Ltd.

朝本 耕作